【平成29年度 参加企業プロジェクトレポート】 株式会社CRAZY プロジェクトレポート

株式会社CRAZY
業種:サービス
所在地:東京都墨田区

CRAZYはウェディングプロデュース事業をはじめ、イベントやケータリング、地域のプロデュースを行っている企業である。クリエイティブとコンセプトメーキングを強みとし、顧客の希望を深くヒアリングして言語化し、実際の形に具現化するところに同社の特色がある。ウェディング事業であれば外にテントを張って式をあげたり、二人のお気に入りの場所を会場にしたり、型にとらわれない完全オーダーメイドの結婚式をつくるのだ。
いろいろな部署の人間が協力して一つのプロジェクトをつくりあげているCRAZYでは、働いているスタッフの関係性がプロジェクトのクオリティを決めるとの考えに基づき、今回、茨城県常陸太田市にある広大な森林に囲まれた「里山ホテル ときわ路」で一泊二日の社員研修を実施した。

株式会社CRAZY社長室 カルチャーオフィサー 小守 由希子様
  • 株式会社CRAZY
    社長室 カルチャーオフィサー
  • 小守 由希子

プロジェクトの参加目的
直近3ヵ月間に入社した社員で合宿研修を実施し信頼関係を構築

今回は直近3ヵ月の間に入社した10名の仲間とガイド役のマネージャー4名で一泊二日の研修を行いました。ただし新しく入ったのは新卒社員だけでなく、中途採用の社員や経営ボードのメンバーとして入社した者もいます。
当社では、たとえばウェディングでは1人ではなくアートディレクターやコーディネーター、プロデューサーなどいろいろな部署や立場のメンバーが力を合わせてつくっていくので、お互い率直にものを言い合える関係性が仕事のクオリティを決めると考えています。その関係性を構築するには仕事だけの付き合いだけに留まらず、お互いを理解し人間関係を深めるような時間をつくることが必要です。
研修に参加している10名の新入社員はこの3ヵ月、当社で働く中で業務に悪戦苦闘したり、以前とは異なる組織文化と出会って疑問や葛藤が生じたりしている部分もあると思います。入社後の時間を振り返りながらそれをみんなで話し合い、解消しながら相互の信頼関係を深めていくことが今回の研修の狙いです。

ご担当者の小守さま

茨城県の印象・生活
豊かな自然のなかに身を置いて雄大さを感じることができる環境

これまで私は茨城県に行ったことがなくて、たまたまテレビに映っていた水戸駅を見て「東京とあまり変わらないのかな」と思っていました。しかし実際に来てみると、東京から距離は近いのにとても自然豊かで、街を歩いていると「君は旅人かい」と声をかけてくれたりコンビニまで車で乗せていってくれたり、優しい人が多いと感じています。
合宿を茨城県で実施しようと思ったのは、当社の歴史と関係があります。私たちは創業1年後、当時の社員全員がそれぞれさまざまなルートで世界一周をして、2週間後に南米のパタゴニアで落ち合いました。そこをベースキャンプとしてみんなで3泊4日、雄大な自然環境のなかで「CRAZYをどんな会社にしようか」と話し合い、「style for Earth」のビジョンに基づいてこの会社をつくってきました。ですから「自然」は私たちにとって非常に重要なキーワードなんです。
パタゴニアまでは行けなくても、いつも生活している場所から離れ、自然に触れてその雄大さや自分の小ささを感じることには大きな意味があると思います。そうした体験ができる場所を探すなかで、広大な山々に囲まれた茨城県常陸太田市の「里山ホテル ときわ路」を研修会場に選びました。

広大な山々に囲まれた「里山ホテル ときわ路」

具体的な支援内容
<当プロジェクトで茨城県から支援を受けた内容>
公的な支援に加え、茨城県で知り合った人たちからの支援が大きい

茨城県からはプロジェクトを実施するにあたっての補助と、地域のさまざまな情報の提供を受けました。私は個人としても茨城県大子町で二拠点居住を実践中で、そこで知り合った方たちにいろいろな場所に連れて行ってもらったり、いろいろな方をご紹介いただいたりしているうちに知り合いが増え、すっかり第二の故郷のようになっています。

また、実は当社の創業期に東京で一緒にウェディングをつくらせていただいた新婦さんが「里山ホテル ときわ路」で働いていて、それがこちらを研修会場に決めた理由の一つにもなっています。当社のことをよく知っている方がいるので、私たちの要望にとてもよく対応していただけました。

地域の方に案内してもらったという蕎麦屋「鯨荘 塩町館」。古い銀行の建物をリノベーションして作られている

本プロジェクト担当の茨城県企画部企画課 戸澤雅彦課長補佐

業務面での変化
たき火を囲みながらお互いの思いを話し合い何でも言い合える信頼関係を構築

普段仕事をしているオフィスで研修をしても、つい「あの仕事はどうなっているか」と気になって日常の業務から意識を離すことができません。しかしいつも仕事や生活をしている場から離れて自然のなかに入っていくと、時間の流れる速さや空気の澄んでいる感じが東京とはまったく違っているので、普段はなかなか出てこない心の奥底の言葉がみんなから出てくるようになります。
研修会場に来てからは「オフラインにしよう」といって、基本的にパソコンや携帯を見るのをやめることにしました。ここにはそれをみんながすんなり受け入れやすく、日常から離れて研修の内容に集中できる環境があります。

天気が良かったこともあり、1日目の夜はホテルの裏の山の中に歩いて行って、全員でたき火を囲みました。暖かい飲み物を飲みながら「最近はどうですか」と投げかけていくと、参加したメンバーから「こんなことを感じている」と普段あまり話さないような話題が出てきました。そうした話ができるようになると、メンバーたちは「こういうことを言ってもいいんだ」という感覚が持てるようになり、何でも言い合える関係が構築されていきます。途中から雪が降ってきたのですが、みんな「もう少し話したい」といってなかなかホテルに戻らないくらい、会話が盛り上がりました。

研修の参加者の結束力が高まり「東京に戻ってからもこのグループでまた集まろう」と言っています。私たちは組織としての一体感の醸成が重要だと感じており、ここでの対話を通して、部署を超えてみんな何か相談したいときに話ができる人のつながりができたことは、メンバーにとってとてもよい経験になったと思います。また、今回の研修では「ここが第二の故郷という感覚をつくりたいね」という話をしました。この景色を見たら自然のなかでたき火を囲み、みんながうんうんと話を聞いてくれたシーンを思い出す。そんな忘れられない光景を、参加メンバーは持ち帰ることができたのではないかと思います。

研修参加者の集合写真