【平成29年度 参加企業プロジェクトレポート】 株式会社WHERE プロジェクトレポート

- 株式会社WHERE
- 業種:WEB・企画プロデュース
- 所在地:東京都墨田区
株式会社WHEREは地域のプロモーション、Web制作・コンサルティング、移住・観光施策、イベントやツアーの運営などを行い、地域と人の関係地を構築。従業員数はたった2人と少ないが、「直接会いに行く」ことで信頼関係を築けるという想いを掲げ、昨年度だけでも約90地域に足を運び、地域と人の信頼関係をシェア。地域での中期滞在を通じて生まれたつながりを基に認知拡大からリピート定住施策まで一貫した地域プロデュースを行う。2015年設立から、文脈のある出会いを通じて、地域と人のつながりにイノベーションを生み出す。自治体や移住希望者に向けて日本各地の取組みを発信するため、地方創生・移住のアイデアを届けるニュースメディア「LOCAL LETTER」を立ち上げる。(http://localletter.jp/)
●担当業務
肩書きは営業担当としているが、人と人とのつながりを重要視しているため、地域の人との関係構築からツアーを企画・運営して納品するまでの一連の流れを一貫して担う。
後世に語り継ぎ、残すべき文化と一緒に地方の魅力的な人や文化と出会えるツアーを実施。また、そのツアー参加者の宿泊拠点づくりも行う。ツアーを企画する上で大切にしていることは、常にフラットな気持ちでみて純粋に自分で足を運んで、やりたいと思うことをツアーにするということ。そのための丸一日かけ現地の人と下見し、見たもの、感じたことをインプットして、質の高いツアーを生み出している。
(ツアー事例:http://localletter.jp/tourreportitakonamegata/)

- 株式会社WHERE
地域プロデューサー・営業担当 - 杉山 泰彦 様
プロジェクトの参加目的
本プロジェクトご担当の茨城県庁小森様や茨城県潮来市の方とのつながりがあり、当社の地域創生への思いに共感していただいたことから、本プロジェクトで潮来市のツアー企画をやってみないかとご紹介いただいたのがきっかけです。活動内容自体は当社が日頃から行っている業務と変わらないため、自分たちの仕事を加速させることができると望外の喜びでした。また、これまで経費節減のため在来線などで各地域へ移動していましたが、本プロジェクトでの経済的なサポートがあることで、新幹線などを使った移動時間の短縮や、それによる作業時間の増加など余力が生まれ、作業効率も上げることが出来ました。
本プロジェクトに参入したおかげで、茨城県と直接的につながり信頼関係を築くことができ、会社としての認知拡大や、情報交換などの場も生まれたため、とても嬉しく思います。
結城の国の重要無形文化財「結城袖」の着物で感じた地元愛
茨城県に対して、トライアル以前は、田んぼがたくさんある田舎というイメージでしたが、いざ足を運んでみると、実際の総面積に比べ体感面積が広く感じたことと、コンビニや、人の通行量の多さのなど都会的なイメージに変わりました。交通アクセスも良く潮来市には東京からバスで、わずか70分で着けることには驚きました。山や、川など自然豊かな場所なのに東京から近いという、いいギャップも感じました。
何かあればすぐに戻れるという安心感も移住者の居住へのハードルが下がり、お勧めですね。また、茨城県の魅力は、地域ごとに“色”があるということだと思います。潮来市と行方市など隣接する地域でも特色が違うことで、都内にはない地域ごとの文化や伝統が生まれやすくなっているのではないかと思いました。
また、地元の人たちが自分の地域のことを愛していると感じた出来事がありました。8月結城市の駅前で開かれた盆踊りに参加した際、国の重要無形文化財に登録されている「結城袖」の着物を会社ごとに揃えて、たくさんの参加者が集っていたのです。地元の人からすれば特別なことではなく、当たり前にしていることなのかもしれませんが、都内ではあまり見られない光景だったので、とても印象的で、地元愛を感じ、地域を盛り上げようとする熱量が感じられる一体感に感銘を受けました。
作業をする場として活用したコワーキングスペースにおいても、地域の建物を有効活用している場所が随所に見られ、面白いなと感じました。
結城市のコワーキングスペース「yuinowa」では、どこか懐かしい趣に新しいものを取り込んでいる雰囲気があり、潮来市のコミュニティスペースでは、築80年の古民家を市が一体となってリノベーションしていて、奥ゆかしさの中にある繊細な芸術がありました。
どちらも元々ある資源をうまく活用して今っぽさをプラスしている点が面白いと思うとともに、文化継承をしつつ新しいことに挑戦できる地域のアイデンティティがあることが、茨城県の地域ならではだと思いました。

移住のメリットとデメリット
移住するにあたり、メリットは2つあると思います。
1つ目は、環境が変わること。都内で働いていると喧騒の中でどこか焦燥感があり、自分のペースで取組むことが難しいと思います。しかし移住をすることで静かな空間で自分のペースで仕事ができるようになり、自分で考えて作業を進めていくことが出来ます。自分のペースで取組むことで効率良く計画性を持って作業にあたるため、優先順位をつけるくせが出来ました。集中しやすい空間で取組んだおかげで生産性も上がり、環境の重要性を感じました。
2つ目は、ビジネスチャンスがたくさんあるということ。
働く場のチャンスが多いことに加え、元々ある環境で仕事をするのではなく、一から作り始めることが出来る機会が多いと思います。各地域がビジネスの可能性を秘めていて資産が多い場所であると感じています。ビジネスメイキング力を試したい方や、都内という『外』の世界から地域創生のサポートを担い、地域を活性化させたいという意欲がある方に向いていると思います。また、地域の方々も意欲的な関わり方を求めている人が多く、地域から恩恵を受けるだけでなく、主体的に携われる方が必要であると感じます。
一方デメリットは、受け身になるとなにもなくなってしまうということです。
“移住=幸せになれる、豊かになる”という間違った概念で移住をしてしまうと何の価値も得られず、移住しても意味がないと思い込んだまま終えてしまいます。移住に際し、具体的になにをするべきなのか、なにをしたいのか、都会よりも自立が求められると思います。自分から積極的に動いていかないと逆に孤独になる可能性を秘めているのです。地域移住のプロモーションに関して間違った概念を蔓延させないためにも、人と地域との互いの価値観がマッチングするようなサービス、関係構築を提供していきたいなと思いました。

プロジェクトのサポートへの課題点
今後の課題として、もっと具体的にその地域に関わった人たちにビジネスとして円滑に活動していけるほどの関係性を構築させ、還元できるかがカギになってくると思います。
奨励金があるからなどといった一時的なものではなく、自力でも行きたいと思えるようにすること。抽象的になりがちな移住をもっと具体的なビジョンで取組めるよう、ヒヤリングを重ね、“次の一歩”を踏み出しやすくしてあげることが大切だと思いました。
また、関わりを持っていない人たちにも知ってもらえるよう、トライアルの事例発表など外に発信していくことも必要であると思います。そのために当社も、その橋掛けとなるような質の高い企画や、魅力的なプロデュースをしていきたいと思っています。
今回の茨城県のトライアル移住で高いビジネスの可能性を感じたので、また茨城県の他の地域にも足を運びたいと思います。

本プロジェクト担当の茨城県企画部企画課渡邉友規係長