【平成30年度 参加企業プロジェクトレポート】 株式会社WHERE プロジェクトレポート

株式会社WHERE
業種:地域プロモーション、地域活性化事業
所在地:東京都墨田区

茨城県結城市は、地域と緩やかにつながる「関係人口」づくりを通じた地域活性化で注目を集めている。次なる課題は、この成果をより中長期的な地域の元気につなげること。株式会社WHEREは、地方と人のマッチングを軸とするイベントの開催でこの課題に挑む。

株式会社WHERE 地域営業リーダー 杉山 泰彦様
  • 株式会社WHERE 地域営業リーダー
  • 杉山 泰彦

都内で結城市をアピールするイベントを開催

株式会社WHEREは、地域活性化を目的とする事業を手掛ける企業です。村から県まで全国各地の地方自治体をクライアントに、イベントやツアーの企画、デジタルコンテンツの運営、地域ビジネスのプロデュースなどを実施しています。地方の魅力を発信しながら地域と人をつなぐ当社の取り組みは、総務省が掲げる地方創生の施策「関係人口」づくりの一翼を担うものです。

私たちは今回、茨城県結城市さんと連携し、同市の中長期的なファンづくりを目指して都内でイベントを開催しました。これは結城市の地域活性化を目的とする一方で自社事業の幅を広げることにもつながります。例えば、当社のメディアには地方で何かしたい人や地方在住の方が登録してくださっているので、結城市を地方で自己実現したい人が活躍する場として提案したり、結城市で地方創生活動を行っているキーマンと当社メディアのユーザーをつなげたりできるようになるでしょう。

全国各地の自治体をクライアントに活動を行っている

地方を、地方で挑戦する人を輝かせたい

地方が元気になるような支援をする一方で、私たちはそこへ向かう人の人生に寄り添うことも大事にしています。それはイベントへの参加、仕事、移住など、かたちはどうであれ、地方とのつながりを求める人の自己実現を後押ししたいと考えるからです。

私は大学時代に奈良県を訪れたのですが、そこで出会った人々、特に若い世代が生き生きと働く姿に感銘を受けました。このときから、“自己実現の場”としての地方とそこにある生き方の多様性に惹かれるようになりました。

結城市さんとは、昨年このプログラムで当社の職場を試験的に結城市に移す「ワーケーション」に取り組んだことから関係が始まりました。その際、長い歴史と現代的な雰囲気をあわせ持つ洗練された街に好感を持ったんです。それ以来、私自身がすっかり結城市のファンになり、先日も市が開催する「結い市」という街全体を使ったお祭りを楽しんできました。

結城市のコワーキングスペース『yuinowa』

地域と人のマッチングをプロデュース

「結い市」など独自のイベントの集客に成功している同市は、次のステップとして県外からのコワーキングスペース利用者や移住を考えている人など、結城市と具体的なかたちで関わる人を増やすことを課題としています。この問題意識を踏まえつつ、私たちは当社だからできる提案を考え抜くことにこだわりました。そうして導き出したのが、山梨県富士吉田市とのコラボイベントの開催です。12月4日に墨田区にて開催し、当日は特産品の販売やトークイベント、交流会などを行いました。

コラボイベントを提案したのは、「地域のカラーがどれだけ自分とマッチしているか」を感じてもらうことが、中長期的なファンづくりにおいて大切だと思ったからです。富士吉田市と結城市は、もともと地域にある資源を現代の文脈で捉え直すことに長けています。互いの価値観が近いこの2つの地域を掛け合わせて、「文化のアップデート」といったコンセプトで地域の魅力をアピールしたいと思っています。

地方自治体との連携に当たって、私たちは常に生産性を意識しています。自治体にとって、予算は避けて通れない問題だからです。その意味でも、ただ現地訪問の回数を重ねるのではなく、東京でできることは東京でやるというスタンスこそが本当の現場主義だと考えており、都内での代理広報など結城市さんの出先機関としての役割も担っています。

茨城県結城市と山梨県富士吉田市とのコラボレーションイベントの様子

地方プロジェクトは学びの連続

私はこれまで地方から多くのことを学びました。生産者の思いや努力を知って、消費を見直すようになりましたし、難しい条件下で知恵を絞りながら地方ビジネスを成立させている方々の仕事の向き合い方には頭が下がります。

今回、結城市さんとプロジェクトを進めている中で印象的なのが、市側の代表の方が、地域の魅力向上を自らの喜びとして活動に取り組んでおられることです。自分の人生観と仕事の接点を見出せるのはすばらしいことだと思います。結城市さんと一丸となってプロジェクトを成功させたいと思います。

結城市のカフェでの打ち合わせ

株式会社WHERE
業種:地域プロモーション、地域活性化事業
所在地:東京都墨田区

2018年から2019年初頭にかけて「IBARAKI トライアル移住&トライアル二地域居住推進プロジェクト」の取り組みの一つとして株式会社WHERE(東京都墨田区)と茨城県結城市による「結城市のファンづくり」の取り組みが行われた。前半部では移住につながるファンコミュニティ形成の準備段階として、実施予定のイベント詳細やそれぞれが持つ想いについて話した。こうした取り組みを通じてどのような変化があったのか。プロジェクト全体での動きやその結末などに迫っていく。

結城市商工会議所中小企業相談所 経営指導課係長経営指導員 野口 純一様
  • 結城市商工会議所
    中小企業相談所 経営指導課係長
    経営指導員
  • 野口 純一
株式会社WHERE地域営業リーダー 杉山 泰彦様
  • 株式会社WHERE
    地域営業リーダー
  • 杉山 泰彦

WEBでの周知・イベント・現地ツアーの3ステップで
結城市の"文化"に触れてもらう
ー改めて、今回取り組んでいただいた内容をお伺いしてもよろしいでしょうか。

杉山

結城市のファンづくりのサポートとして、WEB記事の執筆、都内でのイベント、現地でのツアーと3段階にわけてプロジェクトを進めてきました。その土地ならではの文化を紡いでいく人々と、それを知りたいと思っている人々をマッチングさせるために、一つ一つ動線を作り上げることを意識しましたね。 そのため、都内でのイベント(18年12月実施)は同じ織物文化である山梨県富士吉田市と合同で実施。「同じ価値を持つ地域同士でPRをすると、相乗効果で参加者に価値が伝わりやすくなる」、そう感じてのコラボレーションでした。

▽取材記事①

LOCAL LETTER「”写真で観る” 茨城県結城市。そこは古き良き町並みを新しいコミュニティが紡ぐ、「文化のある町」でした」
https://localletter.jp/articles/photo_yuuki/

▽取材記事②

LOCAL LETTER「「夏はかき氷、冬はお菓子」。生沼さんが実現した、【こだわり】と【ペース】のある移住」
https://localletter.jp/articles/yuuki_interview/

その結果、イベント直後から「ツアーに参加したい!」「結城市に行ってみたい!」という声をいただくようになって。 翌年1月に実施した現地ツアーでは、なんと10名もの方が結城市にいらしてくれました。 僕らは結城市がこれまで培ってきたものを、参加者に伝わりやすい形に”翻訳した”にすぎません。ただ「その地域が持つ魅力や価値を抽出し、適切な文脈で伝えることを心がければ、結果は必ずともなう」というのを実感したプロジェクトでもありましたね。

▽そのイベントがこちら「WHERE NIGHT:文化とともに暮らす人々」

https://localletter.jp/wherenight_1211/

結城市の野口さん(左)とWHEREの杉山さん(右)。結城市への愛が溢れにあふれたお二人でした

根強く"文化"を紡いだ成果を感じることのできた現地ツアー
ー実際にツアーをやってみて、予想外のポイントはどんなところでした?

野口

たまたまなのですが、普段とは違った案内コースで現地ツアーを行いました。 普段のルートより観光地ではなく、どちらからというと日常の結城市をお見せすることになったのですが、結果的にこれがよかった。結城市って「結城紬」のイメージが強いですが、それは結城市が持っている一つの”面”でしかないのです。

杉山

野口さんが以前「文化は等身大、ありのままの姿のことだ」とおっしゃっていて。 あえて日常を見せるコースを取ったことで、結果的に結城市がもつ”文化”を参加者のみなさんに伝えられたのではないかと考えています。 また、実際の現地ツアーでは、参加者のみなさんがたくさんお土産を買っていってくれましたよね!

野口

そうですね!決して僕らの方で強制的に買わせたわけではなく(笑)、参加者の方が「いいね」と思って買ってくれたのです。街づくりって一朝一夕にできるわけではありません。イベントなどの「ハレ」の日には多くの人が来ますが、それを日常の「ケ」の日にまでどう反映させるかが非常に難しく、時間もかかりますからね。

杉山

今回のツアーにて、結城市がこれまで10年単位で積み重ねてきたことが、「経済(お金)」という目に見える形での評価にやっとつながったんですね。それ自体は小さなものかもしれませんが、僕らにとっては偉大なる一歩だったと思います。

「自分が関わった中では現地ツアーの実行は最もスムーズだった。でもそれは、結城市が培ってきた下地があったからこそ」と語る杉山さん

次のステージに向けて目指すべきゴールを再設定するのがポイント
ー今後に向けての課題や展望はどのように考えていますか?

杉山

今回のプロジェクトを通じて感じたのは、「自分が好きなところを伝えるのが好き」ということ。野口さんもそうですが、この結城市の魅力を楽しむことが、その土地を理解する一番の近道なのです。

そうした人々と一緒に地域を盛り上げるのって僕自身もすごく楽しいですし、「結城市ってすごい!もっと知りたい」って今回改めて思いましたね。

野口

個人的にはとてもスムーズにいった今回のプロジェクトでしたが、今後どこにゴールを設定するかが大事だと考えています。こうしたイベントを通じて結城市のファンを作っていくのも重要なのですが、結局ファンっていつか飽きが来るものなので。

結城市を「自分の居場所」と思ってもらえるよう、結城市を知ってもらい、興味を持ってくれる人を広げていきたいですね。それは何百人・何千人に一人かもしれないですけど、今後も結城市の方々とともに、その一人一人を着実に増やしていければと思っています。

杉山

次の4月に「結いのおと」という結城市が持つ文化と音楽を融合させたイベントがあるので、それも楽しみですね!今から「来年度はどういう風に進めていこうか」と考えるだけで、ワクワクしてきます。

▽結いのおと
https://www.yuinote.jp/