【平成30年度 参加企業プロジェクトレポート】 READYFOR株式会社 プロジェクトレポート
- READYFOR株式会社
- 業種:クラウドファンディング
- 所在地:東京都文京区
インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るクラウドファンディング。READYFOR株式会社が今回の取り組みで目指すのは、この仕組みを使って茨城県で輝く人、茨城県を輝かせる人のチャレンジを後押しすることだ。それを通じて、クラウドファンディングで地域活性化の取り組みを促進するためのカギを探る。
“思いの乗ったお金”で地方の活力を創出
READYFOR株式会社は「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」をミッションに、国内最大のクラウドファンディングサービス「Readyfor」を運営しています。クラウドファンディングとは、ある目的を実現するために不特定多数の人から資金を調達する仕組みで、その志への共感の連鎖が活動資金となる点が特徴です。
当社は地方銀行との提携を通じて、地域活性化を事業とする企業などとの接点を確保してきました。今後は、企業だけでなく個人で活動する方を含め、志ある方々と直接つながる機会を広げていきたいと思っています。その第一歩目として、今回は茨城県の活性化につながる活動を募り、クラウドファンディング事業として案件形成を目指します。また、この取り組みを通じてクラウドファンディングの地方展開モデルを探ることも当社の重要な目的です。
READYFOR本社で行ったイベントの集合写真
きっかけは地元のがんばりを知ったこと
そもそも茨城県に着目したのは、私の地元である結城市の地域活性化の取り組みに感銘を受けたことがきっかけです。私は、以前からクラウドファンディングを使って地方でできることがもっとあるはずだと感じていました。昨年、ふと地元のことを調べてみたのですが、魅力的な町興しの活動がいくつもあることが分かり、とても驚きました。活動をけん引する団体に会ってみたいと思い、すぐに彼らが登壇する地域活性化のトークイベントに参加。それ以来、茨城県の活性化に取り組む人々と交流を持つ機会も増えていき、今回、「クラウドファンディングと掛け合わせて地方で何かできるのでは」という思いを形にする機会に恵まれました。
READYFOR本社で行ったイベント
クラウドファンディング実施者であるsunsunto代表まーしー(佐々木正志)さんにお越しいただいた
茨城県を元気にするアイデアの実現を後押し
私たちの目標は、2019年1月末までに茨城県の活性化につながる3つの案件を形成することです。そのために、2018年10月から12月にかけて県内の応募者を募るイベントを実施してきました。
10月には、クラウドファンディングの仕組みや、当社のサービスを利用された方の体験談などを伝える説明会を都内で開催し、茨城県にゆかりのある方や「クラウドファンディング×地方」で何かしたいと考えている方などが参加しました。また、11月には同様の説明会を茨城県日立市でも開催しました。
12月には、水戸市にある茨城県庁で、起案者の企画に対して参加者からもアイデアを出す双方向型の イベントを開催しました。
さらに結城市では、地元で活動している方や、以前にクラウドファンディングを実施した方に、地域でコミュニティをつくるポイントを話してもらいました。
最終的には、応募者の中から選考によって案件を発掘していく予定です。クラウドファンディングには、活動計画の策定や必要資金の概算などさまざまな準備が伴いますので、応募者の目的意識や活動計画の実現性が達成をするためのポイントになります。
当社が応募者に期待するのは、必ずしも地域の課題解決を全面に掲げる計画だけではありません。私たちは、一人一人の輝きが地域の元気の源であり、その輝きを実現させるお手伝いしたいと考えています。
日立市にある地域貢献型シェアハウス『コクリエ』でのイベント
クラウドファンディングへの理解が深まり、具体的な相談も頂いた
地域との連携が活動を応援する土台に
活動を通して必要だと感じていることは、地域やキーパーソンとの連携体制の構築です。これまでは、単独でイベントを開催したり、その情報をSNSで発信してきましたが、例えば既に茨城県で開催されているイベントなどと連携ができれば、よりクラウドファンディングを知ってもらえる機会が増えます。
地元である茨城県をはじめ、より多くの地域に「社会的な価値が高い活動を応援する仕組み」としてクラウドファンディングを普及させていけたら嬉しいです。
クラウドファンディングの広まりと、期待を感じた
- READYFOR株式会社
- 業種:クラウドファンディング
- 所在地:東京都文京区
インターネットを通じて自分の活動や夢を発信することで、それに共感してくれる人から資金を募る仕組みであるクラウドファンディング。「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」をビジョンとするREADYFOR株式会社は、その思いを同じくするつくば市のまちづくり会社と共に、クラウドファンディングプロジェクトによる地域の活性化に取り組んだ。
人々の思いを紡いで地域の祭りを開催
ーどのような取り組みを行ったのですか?
「今回の取り組みをいかに次につなげるかが重要だと思っています」と夏川さん
ー連携を希望していた背景にある思いを教えてください
- 堀下
「ゆいまつり」の課題解決というよりも、地域の活力創出やそこに暮らす人々の志の実現を応援するツールとして、クラウドファンディングに期待しています。当社は市内で「人と人とを繋ぎ、やりたいことを実現していくための場」を提供するコワーキングスペース“Tsukuba Place Lab”を運営しており、Labにはさまざまなアイデアを持った方が集まります。そうした方々の志をクラウドファンディングで後押しできれば、個々人が地域や誰かのために挑戦を続ける、魅力的なまちになっていくと思うのです。
- 夏川
12月にLabを訪問して堀下さんの思いを伺い、Readyforと目指す方向性が近いと感じました。地元の活動家が集まるLabと接点を持つことで、当社だけではアクセスできなかった層にもクラウドファンディングを活用いただける可能性が広がると期待しています。
- 堀下
これまで、別のクラウドファンディングのプラットフォームも活用してきましたが、Readyforさんは社会貢献領域に強く、ビジョンの親和性も高いので、良いパートナーになれると思っています。
筑波大学在学中に商店街活性化の仕事をしていたという堀下さん。それがきっかけとなり学生起業家として株式会社しびっくぱわーを立ち上げた
地方で志を発掘し、育てる
ー取り組みの効果と感想を教えてください
- 夏川
茨城県でクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げるといっても、当初はどうすれば地域の方々とつながれるのか分からず、案件の発掘に時間がかかりました。その分、起案の準備や起案後のフォローアップにかける時間が減ってしまったのですが、最終的に「ゆいまつり」の目標金額を超える支援を集めることができ、ほっとしています。
- 堀下
起案準備の過程で「ゆいまつり」の意義を改めて問い直す機会を与えていただけたのは貴重でした。社会にとってどれだけ意義ある活動なのか、応援してくださる方々の信用に足るイベントにするにはどうすればいいのか——。これまで企業の協賛で開催してきた中では、なかなか突き詰めて考える機会が持てなかった点です。2012年の初回開催から実行委員が数回代替わりし、イベントの持続可能性を考える時期に来ていたこともあり、活動を振り返る良い機会となりました。
- 夏川
案件発掘に取り組んでみて、クラウドファンディングを知らない人もまだ多いことに気付きました。志を応援する仕組みとして、当社に限らずクラウドファンディング全体の認知度を上げていきたいです。
ローカルクラウドファンディングの加速に向けて
ー今後の展望は?
- 堀下
クラウドファンディングを通じて、人々の挑戦とつくば市のまちづくりを応援するために、地域の方々とReadyforさんをつなぐ橋渡し役を担いたいと思っています。ビジネスとして協力関係を継続していけるよう、当社とReadyforさんの間で契約も交わしました。
- 夏川
その他、両社の共催でローカルをテーマとしたワークショップを開催する案も出ています。将来的には、市や県の起業支援事業で当社のサービスを活用していただくなど、行政機関との連携も進めていけたらと思っています。
- 堀下
個々のプロジェクト発掘だけでなく、まちづくりのさまざまな側面で連携が実現していきそうですね。
- 夏川
誰かの挑戦を応援したいという思いを同じくする仲間、そして、志ある挑戦者が地方にはたくさんいるのだと実感できました。ここから何かが始まる——そんな期待が膨らんでいます。
両社の協力関係の発展に向けて、具体的な話し合いを進めた二人
茨城県で夢に向かって挑戦する人や、地域のために何かしたいと考えている人の取り組みをクラウドファンディングプロジェクトとして立ち上げ、その実現によって県の活性化に貢献することを目標に活動しました。案件の発掘に向けて、10月は都内の本社で、11月以降は茨城県の日立市や水戸市、結城市で「ローカルクラウドファンディング」をテーマとする広報イベントを開催し、結果として2つの活動をクラウドファンディングプロジェクトとして起案することができました。その一つが、つくば市のお祭りである「ふるさとつくば ゆいまつり」(以下「ゆいまつり」)です。
私はつくば市でまちづくり会社「株式会社しびっくぱわー」を経営しています。前々から、みんなの挑戦を応援する際にReadyforさんと一緒に何かできないかと考えていたことから、日立市で開催されたイベントに参加し、私の方から猛アプローチをかけました。「ゆいまつり」は当社事業ではないものの、私は学生時代から関わっていたため、今回は、Readyforさんとの具体的な連携の在り方を探る一歩目として、「ゆいまつり」史上初のクラウドファンディングに取り組みました。
堀下さんに「ゆいまつり」の実行委員長を紹介していただき、支援を募るための戦略作りなどの準備を一緒に進め、1月末にプロジェクトページを公開しました。