【平成29年度 成果報告会②】
IT・ベンチャー企業×地方
最新ビジネスの可能性を探る
018年3月6日、第2回目のプロジェクト成果報告会を行いました。「茨城を知る」「実例を聞く」「ローカリストと繋がる」の3部構成で、茨城県でのトライアルを実践したIT・ベンチャー企業、さらには茨城各地で活躍するローカリストが登壇。会場のYahoo Lodgeには、企業の総務関係者、行政関係者、フリーランスの方、それから学生さんまで、定員を超える100名以上の方が集まりました。
サマリー
報告会前半は、「産学官連携アイデアソン」のプロジェクトおよび「リモートワーク」の実例をリポート。トライアルを実施した企業だけでなく、茨城の商工会議所の職員なども登壇し、企業側と受け入れ側、双方の声を聞く貴重な機会となりました。後半は、県内各地で活躍するローカリストが登場。全体を通して見えてきたのは「地域と連動した新しい働き方の可能性」でした。茨城には多様な働き方の受け皿として必要な要素が揃っていること、そしてその受け皿を強固にしていくのは人と人の繋がりであることを再確認するひとときとなりました。
18:30 茨城県 トライアル移住・二拠点居住 推進プロジェクトとは
茨城県企画部の小森学さんによるプロジェクト紹介からスタートです。
今、東京圏の企業の多くが「従業員満足度の向上」や「働き方改革」といった課題に直面しています。一方、茨城県においては「人口減少の緩和」や「地域の活力維持」が喫緊の課題。そんな中、双方にとっての打開策を模索すべく、このプロジェクトがはじまりました。東京へのアクセスのよさ、そして地方ならではの壮大な自然や豊かな文化。そんな二つの長所を併せ持つ茨城への移住や二拠点居住を検討する企業のトライアルを、県が積極的にサポートしています。小森さんは「2017年に知事が変わり、茨城のビジョンは大きく変わろうとしています。このプロジェクトはその第一歩。『茨城移住計画』さんをはじめ、多くの方にご協力いただきながら進めてきました。いろんなことを『やりたい』という方に茨城に集まっていただけたらと思っています」と語りました。
続けて、茨城に移住したい個人をサポートしている「茨城移住計画」の発起人のひとりでもある鈴木哲也さんからは「今日は『聞く』と『話す』の両方を楽しんでください。たくさんのスピーカーがいらっしゃいますのでまずは聞いていただき、それを『言葉のギフト』としてご家族や周囲の方に伝えてください。そして、この場を未来に繋げていけたらと思います」というお話がありました。
【第一部】
なぜローカルと繋がることが大切か?
18:40 事例発表①
つくば市での取組み「産学官連携アイデアソンの実施」
まずは、つくば市で行われた「産学官連携アイデアソン(アイデアとマラソンを組み合わせた造語で、新しいアイデアを生み出すための共創型のイベント)」についての報告から。このアイデアソンは地元の「(株)TMO結城」と「ヤフー株式会社」主導のもと、つくば市のコワーキングプレイス「Tsukuba Place Lab」にてキックオフしました。さらにビジネスチャットサービスを提供する「ChatWork株式会社」が連携することで、遠隔進行が可能に。茨城県内でも距離の離れた3大学が参加するという、新しいスタイルが実現しました。
ここからは、ヤフーの地方創生チームに所属し、また茨城移住計画の発起人のひとりでもある鈴木哲也さんがファシリテーターを務め、3名のスピーカーとともに取組みの詳細を紐解いていきます。スピーカーの方々はこちら。
ChatWork株式会社 広報室
山田 葉月さん
ビジネスチャット「チャットワーク」とその関連サービスを展開。グループチャット、タスク管理、ファイル共有、ビデオ通話・音声通話の機能を持ち、業務の効率化や働き方の変革に貢献する
株式会社しびっくぱわー 代表取締役/Tsukuba Place Lab 主宰
堀下 恭平さん
熊本県出身、つくば市在住。コンサルタントとして働きながら、2016年、つくば市にコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」を開設。「人と人を繋ぎ、やりたいことを実現していくための場」づくりを行う
ヤフー株式会社 地方創生チーム
鈴木 哲也さん
茨城県桜川市出身。ヤフーにて全国の地方創生案件、結城市のプロジェクトを担当。結城市内のコワーキングスペース「yuinowa」の立ち上げに携わる
Q. プロジェクトに参加した理由、具体的な取組み内容とは?
Q. プロジェクトを終えて、今感じることは?
- ChatWork 山田
企業として学生とアイデアソンをやるというのは滅多にないことで、プロジェクトを通していろいろと考えさせられました。ツールさえ使いこなせれば、必ずしも都会で働く必要性はないというのは感じましたね。もちろん都会の利便性はありますが、それよりも自分のライフスタイルを重視したときにどうするか、ということですね。
- Tsukuba Place Lab
堀下 僕自身、Tsukuba Place Labを運営しながらコンサルとして全国を飛び回っています。そういう立場から見ても、東京に縛られる必要性は弱まりつつあります。ただし、それは人と人が会わなくてもいいということではなく、今回のプロジェクトにおいても、キックオフのときにちゃんと顔を合わせているからこそ遠隔でのコミュニケーションがうまくいったんだと思います。場所に捉われずに仕事をすることは可能ですが、同時にリアルな場の必要性も強く感じました。場があってはじめてできることもありますし、場を共有することで仕事が生まれることもあります。
Q. 会場に来ている方々へ伝えたいことは?
- Tsukuba Place Lab
堀下 いろんな方がいろんな思いで来ていらっしゃると思いますが、僕はつくばからベンチャーを創出したり、おもしろい働き方をしている人を輩出したりしたいと考えています。さまざまな枠組みでの関わり方がありますが、「あ、おもしろいな」と感じたポイントにガシガシ突っ掛かってもらえたらいいなと思います。
- ChatWork 山田
プロジェクトに参加して感じたのは、受け入れ側のみなさんが非常に柔軟に考えてくださるということ。私以外の社員もお世話になったのですが、わがままな要望にも対応してくださって。茨城では受け入れ態勢が整っている、と感じました。これから茨城に関わろうという企業の方には、まずは相談してみることをおすすめします。
19:30 事例発表2
結城市での取組み「地元と繋がる企業連携」
2つ目の事例は、結城市にて実際にリモートワークを行なった企業のトライアルについて。企業の方からお話を聞くだけでなく、結城商工会議所、結城市役所の担当者も交え、双方の視点から実態に迫ります。みなさんのお話に出てくる「yuinowa」は、今回のトライアルの拠点となったコワーキンスペースです。古きよき城下町・結城らしい築87年の呉服店をリノベーションした空間で、カフェも併設。街の魅力とものづくりを楽しむお祭り「結い市」や音楽祭「結いのおと」の会場にもなるなど、地元のコミュニティのベースとなりつつある場所です。
引き続き、ファシリテーターを務めるのはヤフーの鈴木さんです。スピーカーの方々はこちら。
株式会社リビタ 賃貸事業本部
増田 亜斗夢さん
「くらし、生活をリノベーションする」をコンセプトに、既存建物の改修・再生を手掛ける。中でも、コワーキングスペースやシェアアトリエなど「働く、学ぶ、遊ぶ場」の運営を担当
株式会社ワット
樋口 康太郎さん
「カフェからまちづくりへ」をテーマに、地域にコミュニティをつくり、街と共存するカフェや飲食店の運営、企画、プロデュースを行う
結城商工会議所
野口 純一さん
コワーキングスペース「yuinowa」を運営。「結いプロジェクト」を立ち上げ、「結い市」や「結いのおと」などを展開。結城市の人、もの、縁を繋ぎ、新しいプレーヤーを結城に導くための活動をしている
結城市役所 企画政策課
池田 祐介さん
若年層の人口減少をいかに食い止め、市外に出てしまった人材をいかに呼び戻すかという課題への対策の一つとして「yuinowa」に携わる
トライアル企業へ
Q. プロジェクトに参加した理由、具体的な取組み内容とは?
- リビタ 増田
僕たちの場合、いろんな場所でスペースを運営していることもあり、チームのメンバーの居所は転々としていて、普段からリモートワークをやっている状態です。そこで、今回はチーム全員で結城市にて合宿し、オフサイトミーティングを行うことにしました。「働く場をつくる」ことを仕事にしている僕たちにとって、いろんな気づきが得られるのではないか、と。実際に「そもそも僕たちは何をしているのか?」など、通常はできない話をたくさんしましたね。拠点にしたyuinowaの雰囲気も手伝って、リラックスした雰囲気で臨めましたし。新しい発想の意見が飛び出すなど、議論が深まりました。
受け入れ側へ
Q. プロジェクトの実現に当たり、難しかったことは?
- 結城商工会議所
野口 地域の人間からすると、結城に来てもらって「不便を感じないだろうか?」「仕事ができるだろうか?」という不安はありました。が、地元のお祭りにもお連れし、ありのままの結城を見ていただけたかな、と。人と人との交流など、こちらが得るものは多かったです。
- 結城市役所 池田
今回来てくださった企業のみなさんはもともとフレキシブルな働き方をされていますが、市役所の人たちに理解してもらうのが大変でした。「リモートワーク」という言葉は知っていても、またニュースなどで見聞きしていても、実際に接することはなかったので。そういう意味で、いい機会をいただきました。あとは、こうして来てくださる方々に最終的に定着してもらうにはどうすればいいか、というのが課題です。
トライアル企業へ
Q. 結城でのリモートワークを通して感じたことは?
- リビタ 増田
元のお祭り「結い市」などを見ることができ、結城の魅力を堪能しました。これをぜひ多くの人に味わってもらえたらと考え、弊社が運営する「BUKATSUDO(大人の部活が生まれるシェアスペース)」の利用者さん約20名を結城に案内するツアー「大人の修学旅行」を実施しました。旗やしおりを手づくりして、yuinowaや酒蔵、結城紬の問屋さんなどを巡りました。
結城の魅力は、圧倒的な「家感」だと思います。古民家を改装したyuinowaの雰囲気もそうですが、コンパクトな街だからこそ、いろんな人と顔の見える関係が築ける。カフェの店員さんや着物屋の店員さんなど、顔見知りが増えていくんです。もちろんBUKATSUDOにおいてもネットワークは拡大しますが、場は限定されてしまいます。街全体に繋がりが広がっていく感覚は、地方ならではじゃないでしょうか。
- ワット 樋口
僕は「餃子部」という活動の部長をしているんですが、これも根っこにあるのは「コミュニティづくり」です。一緒に餃子をつくって食べれば、Facebookで繋がるくらいには仲よくなるよね、という敷居の低いイベント。これをyuinowaでやらせていただきました。結城産の白菜「菜黄味(なおみ)」と「ローズポーク」を使い、頑張ってつくりましたよ。こういうイベントは場所の設えでコミュニケーションの在り方が変わるんですが、舞台が古民家というだけあって、お子さんも交えた懐かしい光景が生まれました。
僕たちはカフェを通してコミュニティをつくることを目指しているわけですが、都会のカフェって「点」なんです。どうしても来ない層の方がいて、「面」の受け皿にはなれないんです。でも、地方なら「点」と「点」を繋げることで「面」になれるかもしれないと思いました。yuinowaは来てくれた人にサービスするだけでなく、自ら外へ出ていくような仕掛けを持っている。そこに大きなヒントをもらいました。
受け入れ側へ
Q. プロジェクトを終えて、感じることは?
- 結城商工会議所
野口 来年も来てくださるのかどうかが気になるところです。これまでyuinowaのようなスペースを地元の人が公民館的に使うというケースはあったんですが、外の方が使うのは珍しいことでした。僕たちにとって得るものがあった一方、みなさんはどうなのかと思っていましたが、さきほどのご感想を聞いて安心しました。
- 結城商工会議所
野口 どのような企業さんでも、ローカルに少しでも興味をお持ちでしたら、ぜひいらしてください。外から見ると閉鎖的な小さな街に見えるかもしれませんが、yuinowaを拠点に溶け込んでいただけると思います。ここがあるから、すぐに地域が近くなる……yuinowaをそういう場所にしていきたいと思います。月に一度「ちょっと行って生産性を高めようか」といった感覚で来ていただきたいです。
【第二部】
茨城ローカリスト紹介&クロストーク
19:50 2018年度にやりたいことを発表&仲間を募集!
第2部は、茨城の3エリアで活動する3名のローカリストが登壇。それぞれが2018年にやりたいことをプレゼンテーションし、仲間を募ります。
プレゼン①
県北エリアを多角的に盛り上げましょう!
by 茨城移住計画 代表 菅原広豊さん
秋田県出身、日立市在住。茨城にいつか移住したい個人をサポートする「茨城移住計画」を立ち上げる。主に県北エリアを担当。各エリアのプレーヤーたちと連携し、受け入れの土壌づくりを実施している
最初のローカリストは「茨城移住計画」の代表であり、県北エリアで活動する菅原さん。まずは眼前に海の広がる日立駅の写真をスクリーンに映して「僕がいちばん好きな街です」と切り出しました。菅原さんの活動は、地域と若者がともに未来をつくることを目的にした地域貢献型シェアハウス「コクリエ」の設立サポート、地元のデザイナーやライターなどのクリエイターが地元企業の「困った」を解決する「KAZAMIDORI CREATIVE」の運営、さらには「ヒタチモン大學」の学長として多ジャンルの講座や勉強会の開催など、多岐にわたります。そんな菅原さんが、今年度やりたいこととは—。
- ●茨城移住計画:地域×スポーツ
- スポーツの力で地域を盛り上げる
- ●ヒタチモン大學:地域×教育
- 教育の力、学ぶ喜びで地域を活性化する
- ●時由地材:地域×古材
- 地域の問題である空き家を、地域の資産に
多方面から県北エリアを盛り上げようと活動する菅原さん。「何かちょっとでも引っ掛かるところがあれば、ぜひ一緒にやりましょう」と締めくくりました。
プレゼン②
県南エリア、つくば駅前に新しいスペースを!
by Tsukuba Place Lab 代表取締役 堀下恭平さん
2人目のローカリストは、第一部にも登場した堀下さん。ご自身が運営するコワーキングスペース、Tsukuba Place Labについて、「僕は、偶然を演出したくてこの活動をやっています。誰かと誰かの出会いは予想がつかないものですが、だからこそ演出したい。そして、多様な生き方があることを発信したいんです」と話します。そんな堀下さんが、今年度やりたいこととは—。
●つくば駅前に2つ目のコワーキングプレイスをつくる!
堀下さんは「国の研究機関であり、多数の起業家を輩出している筑波大学があるにも関わらず、つくばには働けるスペースが少ないのが現状です。そこで、そういう人をワンストップで支援できる場をつくりたいんです。今のTsukuba Place Labは『友達の家』感覚ですが、次はもっと起業家輩出に力を入れたいと考えています」と熱弁しました。
プレゼン③
県西結城にて「結いの平家」運営者大募集!
by 結城商工会議所 野口純一さん
3人目のローカリストは、第一部にも登場した結城商工会議所の野口さん。野口さんいわく「結城は何でもできる街です。伝統ある結城紬の産地であり、城下町の風情を残す美しい街並み。そんな結城に、yuinowaをはじめとする新しい動きが数々生まれています。そんな中、空き家のオーナーさんたちが『うちも使っていいよ』と声を掛けてくれるようになりました」とのこと。というわけで、野口さんが、今年度やりたいこととは—。
●「結いの平家」運営者大募集!
一例として、元銭湯だという広々とした平家を紹介してくれました。野口さんは「家賃は月3万5000円、リノベーションの補助金100万円も支給されます。もちろん、相互扶助の精神で私たちも手伝います。この物件だけでなく、起業したい方に適した空き店舗なども。どなたかやってみませんか?」と語りかけました。
20:10 ローカリストのクロストーク
ここからは、茨城移住計画の鈴木高祥さんがファシリテーターを務め、それぞれの地域の特性、活動の現状などを探っていきます。
Q. 「こんな人は活躍できます!」を教えてください。
- 茨城移住計画 鈴木
「ぜひうちに来てください!」というのはみなさん共通ですが、「こういうスキルがあると活躍できます」など、地域の現状に合った情報を教えてください。
- 結城商工会議所
野口 実状をお話すると、飲食店創業の相談はいくつかあり、充足感があります。足りていないのはゲストハウスなど。民泊運営のノウハウがある方は、ぜひ。企業さんも個人の方も歓迎です。さきほどお見せした物件とは別の、大きな建物もあります。
- Tsukuba Place Lab
堀下 それ、冗談抜きで僕がやりたいです! それにしても、県北や結城の話を聞いて、正直「手厚いな」と思いました。つくば市は人口が微増していますし、産業もあるので、創業に対する補助金などはなかなか出ないのが現状です。Tsukuba Place Labももらっていませんし。ハードルを上げてしまうかもしれませんが、つくばは「自力で頑張るぜ!」っていう方のほうが向いているかもしれません。実際、そういう人たちの連携は強いです。「自分の力を生かしたい」という野心的な方におすすめです。
- 茨城移住計画 菅原
一つは、企業が店舗などを出すときに、マネージャー職に就ける人材が不足しています。もう一つは、個人のライターさんやデザイナーさん、そしてそれをパッケージしてディレクションする人。そういう人はきっとすぐ仕事が見つかります。実は「県北ライター講座」というのもやっているんですが、そこからはじめなくてはならないのが現状です。
Q. ローカリスト同士、お互いに聞いてみたいことは?
- 結城商工会議所
野口 私は商工会議所の職員ですから収入は安定しているわけですが……失礼なことを伺って恐縮ですが、お二人はどのように生計を立てていらっしゃるのですか?
- 茨城移住計画 菅原
僕は会社員なので、野口さんと同じ立場です。4年半ほど前からこういう活動をしていて、最初は大変でしたが、今は365日やっています。自分の好きなことですから苦じゃありませんし、今は種まきの時期だと考えてます。
- 茨城移住計画 鈴木
ちなみに、奥さんとはどうやって調整するんですか?
- 茨城移住計画 菅原
それは大事な問題ですね。最初は「何やってるの、この人!?」ってなりました。僕の場合、月初に1ヶ月分のスケジュールを決めるんですが、まず最初に家族の予定を入れます。次に仕事。次に活動。こうすると、うまくいきますよ。
- Tsukuba Place Lab
堀下 僕も「種まき」という側面は強いですね。もともとコンサルをやっているので、収入はそちらで立てています。年間契約が多く、4〜5月にある程度の収入が見込めるので、その時点で今年度に何ができるかの計画を立てられます。コワーキングスペースには社員はなく、6人のスタッフには諸礼を支払う程度で、ボランティア的な関わりをしてもらっています。例えば本業がライターのスタッフならネタが集められたり、学生のスタッフならイベント運営の実体験ができたり。違う部分でメリットを感じてもらえるようにしています。
- Tsukuba Place Lab
堀下 僕からも質問したいのですが、県南のつくば市でこういう活動をするのは20代の若者が多いです。が、結城や県北はもう少し年齢層が上というイメージがあります。地代家賃を考えるともっと若い人が積極的に動けそうなのに、と思いますが、いかがでしょう?
- 結城商工会議所
野口 家賃については、さきほどの物件も普通に不動産屋で借りるともっと高いんです。そこを、大家さんが「地元のためなら」と言って応援価格にしてくれているんですが、こういう流れになってきたのは最近のことです。だからこそ、今、ぜひ若い人に来てほしい。街が新陳代謝するようになればいいと思っています。
- 茨城移住計画 菅原
県北にも茨城大学と茨城キリスト教大学があり、学生はいます。ただ、学生たちからすると地域と関わるきっかけがないんです。最近、僕のFacebookのメッセンジャーに地元の高校生から「関わりたいんですけど、どうしたらいいですか?」というのが来たくらい。「繋がりたいけれど方法がわからない」というのが県北の状況。インフラさえ整えば若い人がどんどん参加してくるのかなと、期待感でいっぱいです。
【第三部】
大懇親会&繋がろう!
20:40 ローカリストのテーブルでディスカッション
第3部は、懇親会です。振る舞われたのは、茨城産の食材を使った料理。ケータリングは、第1回目の成果報告会に登壇した「株式会社CRAZY」によるものです。桜エビと新じゃが芋のサラダ、イカと春野菜のナージュ仕立て、イチゴのソースをかけていただく牛肉のローストなど、自然豊かな茨城の春を感じさせるメニューが並びました。
第2部で登壇した3名のローカリストごとにテーブルが用意され、参加者は興味のあるテーブルで情報交換をしたり、プレゼンテーションされた今年度プランへの参加を申し出たり。
ここでの出会いや学びが、茨城の未来に繋がることを確信できる時間となりました。「働き方改革」を模索する企業の方はもちろん、「ワークライフバランスの見直し」を検討しているフリーランスの方、「起業」を考えている学生さんにも、今、茨城でこうした新しい風が吹いていることを知っていただけたらうれしいです。
私たちは、企業の生産性向上や業務効率化のためにチャットサービスを提供しています。目的は、世の中の働き方を変えること。今回のプロジェクトには、地方でのテレワークにおいてチャットにどのような有用性があるのかを検証するために参加しました。
堀下
僕は筑波大学のそばでコワーキングプレイス、Tsukuba Place Labを運営しています。大学の近くということもあり、普段から利用者の約半分が学生。例えば「起業したい」など、これから走り出したいという人を支援する場所です。このプロジェクトには「受け入れ側」として参加したわけですが、毎月約30本のイベントを開催している僕たちにとっても、すごく力を入れたイベントの一つでした。 今回のアイデアソンでは、初回の集まりをTsukuba Place Labで実施。茨城県内および近郊の3つの大学、筑波大学、白鷗大学、茨城大学の学生が集まってのキックオフとなりました。具体的には、「コワーキングスペースを活用した地域交流人口増加」という課題に対して、大学混合の4チームに分かれてアイデアを練ってもらいました。3週間後の発表までチャットワークで遠隔進行する、というのが条件。難しい課題ですが、キックオフ当日は副市長も登壇し、茨城の現状などを直接伝えました。
各チーム、学生だけでなく、一人ずつメンターをつけましたよね。
堀下
はい、どのチームにも社会人のメンターがつきました。茨城県の職員の方、企業の支援をされている方、個人で活動している方など、メンターにも幅があって、いろんな大人の話を聞けたのは学生にとってよかったと思います。
こんな学生が多かった」など、何らかの傾向はありましたか?
堀下
「起業したいけれど、まだ具体的ではない」もしくは「何かしらの団体のリーダーをしている」という学生がおよそ半々だったでしょうか。とにかく参加者が多くて、スペース的にぎりぎりでした。
キックオフのあと、チャットを使った進行はいかがでしたか?
ビジネスチャットは学生用のものではありませんが、時間と場所を選ばないツールであり、今回のプロジェクトにきっと役立つと期待していました。感動したのは、その期待以上にみんながすぐに使いこなしたことです。企画書をファイル共有したり、音声通信機能を使ってライブミーティングしたり。本当に目覚しいほどの活用ぶりでした。
メンターのアドバイスも受けつつ、見事にツールを使いこなした学生が、主体的に進めていましたね。3週間後の発表は、結城市のコワーキングスペース「yuinowa」で行いました。古民家を改装した空間なので、寺子屋スタイルで。ここで、学生たちの発表内容をちょっと紹介します。
●チームA「外国人×料理教室」
茨城に暮らす外国人を資源と考え、外国人をターゲットに料理教室を開く
●チームB「コキス(コワーキングプレイス)でオタクカルチャー」
地元企業と学生を繋ぐため、コキスでオタクカルチャーイベントを開催する
●チームC「同じ釜の飯を食う」
地元の料理人を集めて料理コンテストを開催し、インスタグラマーが情報を発信する
●チームD「地域でしごとをつくる」
フォトグラファーやライターなど、地域のフリーランスと学生を繋ぐイベントを実施する
どのチームも、コワーキングスペースの利用者を対象にアンケートを実施するなど、ちゃんと調査をしていました。インスタグラムを活用するといった大学生らしいアイデアも。すぐ実行できるところまで落とし込んでいるチームもありました。