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STAND IBARAKI

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地域プロジェクト

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フィールドは茨城県、自由な熱量で参加できる多様なプロジェクト

茨城県では新たに25もの「茨城への関わりしろ」が誕生。
2020年8月から翌年2月にかけて開催された「STAND IBARAKI」では、参加した25のローカルプロジェクトが、地域と人を巻き込んだ多様なアクションを実行。プロジェクトオーナーたちは、茨城に住む人も県外の人も「ワクワク」をきっかけに自由な距離感で参加できる関わるきっかけを作り出していった。

この多様な「関わりしろ」を生み出したプロジェクトは、どんな想いのもと、何を大切に進められていったのだろうか。今回は、STAND IBARAKIのプロジェクトを代表して、MVP受賞者の3名に活動の舞台裏について伺った。

茨城で実践する人、茨城に関わる人を増やすプログラム

地域の外から足を運び、その地域の文化、歴史、人々に想いを持って関わっていく人たちを指す「関係人口」という概念。

地域課題を解決するスキルを持った人だけでなく、地域のファンとして想いを持って関わりつづけてくれる人を増やし、より魅力的で活気ある地域を作る。そんな動きが、全国的に広まっている。

茨城県でも、暮らし・仕事・文化・地域課題など、様々な切り口から関わってくれる関係人口を広く受け入れているところだ。

STAND IBARAKIでは、「まずアクションを起こすことが大切」と伝えながら、エントリーしたプロジェクトオーナーたちの背中を押してきた。

一方で、「茨城の活動に参加したい」と思いながらも、「県内にはどんなプロジェクトがあり、どうやって参加すればよいか分からない」など、関わるきっかけに出会えない方も多いのではないだろうか。

また、茨城県内で活動中のローカルプレーヤーの中には、想いを共感してくれる仲間を集めたり、県内外の多様な人たちと出会ったりする機会を模索している人も多いはず。

そんな背景のある中、2020年8月から翌年2月にかけて行われたのがSTAND IBARAKI。茨城県内でチャレンジを起こしたい人を応援し、「茨城県というフィールドを使い、実践する人」を 増やすことを目的としたプログラムだ。

STAND IBARAKIの主役は、茨城県を舞台に活動しているローカルプレーヤーや、これから新しく企画を立ち上げる人たち。「プロジェクトをつくるのが初めて」という人も含め、2020年度は、25ものプロジェクトが参加した。

茨城で活動を行うプロジェクトオーナーの支援の一環として、プロジェクトを応援したい「個人サポーター」とのマッチングイベントも開催。地域活動への参加の糸口を探す人たちに、「応援する」という気軽な関わりしろを届けていった。

プログラム開始後、25組のプロジェクトオーナーがエントリー。STAND IBARAKI事務局は、活動するプロジェクトオーナーに対して、サポーター募集や活動PRの支援、活動の相談窓口などにより応援していった。

可能性と想いが際立った3組がMVPを獲得

成果発表のである「STAND IBARAKI冬の陣 ファイナリスト7組公開プレゼンテーション」は、オンラインで開催。人が集まることが難しい昨今だが、参加者からは「オンラインを活用したからこそ、活動に広がりができたのでは」「ここでみんなの顔を見ることができ、想いも見えた。『オール茨城』な一体感も感じられた」という、プロジェクトオーナーたちのこれからの展開が楽しみになるコメントが集まった。

8月から約半年間、様々なアクションを起こしてきた25のプロジェクトのうちは、特に積極的に活動していたプロジェクトを翌年2月上旬に審査員により選考。選ばれた7組は、2月13日にオンライン開催された「STAND IBARAKI冬の陣 ファイナリスト7組公開プレゼンテーション」で、外部審査員や視聴者に対して、自分たちの活動成果を発表。

※プレゼンテーションの様子は、こちらから視聴できます
STAND IBARAKI 冬の陣 ファイナリスト7組公開プレゼンテーション

プレゼンテーションでは、TURNS プロデューサー 堀口氏・READYFOR株式会社 夏川氏・横浜トゥデイ hamato氏・茨城大学 社会連携センター長 中村氏・株式会社ユニキャスト 三ツ堀氏・株式会社茨城新聞社 藤枝氏といった面々が審査。

審査の評価基準となったのは、プロジェクトの「成長性・継続性・チーム性・ユーモア性」の4点。甲乙つけがたいプレゼンの中、見事MVPを取得したプロジェクトは以下の3プロジェクトだ。

八郷留学(STAND IBARAKI賞)
代表者:原部直輝(はらべ・なおき)
拠点:石岡市八郷地区
「暮らしも遊びも物語も、作るのは全部きみだ」をテーマにした自然体験プログラム。2020年7月に八郷地区にUターンしたときに改めて気づいた、八郷の豊かな自然と文化、自然とともに生きる暮らしをたくさんの人に知ってもらいたいという想いで始まった。八郷地区内の放置林に「きこりの森」を作り、県内外からやってくる人たちと関わりながら、八郷町への短期留学プログラムを開催。活動を通じて出会った7人の男女で活動中。
https://www.yasatoryugaku.com/

大笑チーム/project「大洗カオス」(NEW IBARAKI賞)
代表者:平間 一輝(ひらま・かずき)
拠点:大洗町全域
「大洗独自の良さを活かした海の街(≒大洗)をデザインする」ことを軸に、「あなたの世界が広がる町」を目標(Vision)に掲げ、文化と文化が交わるをMissonに活動しているチーム。2019年の「if design project」にて、大洗町を舞台に活動する海チームとして結成され、以降活動を続けてきた。大洗にUターンした平間さんを中心に、大洗内外の人と関わりながら活動中。大洗カオス公式HPで、大洗で実現したい「妄想」を募集し、実現させる活動をしている。メンバーは、平間さん以外、ほぼ全員が都内在住者。
https://oaraichaos.com/

イバフォルニア・プロジェクト(審査員賞)
代表者:小池伸秋(こいけ・のぶあき)
拠点:ひたちなか市阿字ヶ浦海岸周辺
「100年先も豊かに暮らせる海(街)をつくること。」を目標に、海と共に暮らすライフスタイルを提案し、地域住民の心の豊かさを育み、海岸の通年利用を図る。阿字ヶ浦海岸にゆかりを持つ人々で結成され、2018年から活動。ビーチマーケットや海のゴミ拾いの開催、コミュニティスペース運営を通し、阿字ヶ浦でチャレンジしたい人を支えてきた。運営のコアからイベントのお手伝いまで、無理のない熱量で多くの人が活動に参加。
https://ibafornia-project.jimdosite.com/

活動内容、立ち上げ時期、構成メンバーも異なる3つのプロジェクト。今回は、それぞれの代表を務める原部さん、平間さん、小池さんに、約半年間の活動の舞台裏について伺った。

STAND IBARAKIは「ゴールに向かって気持ちを高める機会」

一から企画を立ち上げ、STAND IBARAKI賞の受賞に至った八郷留学代表の原部さん。八郷地区での活動を振り返り、「八郷は自然や文化だけでなく、人も魅力的。いきなりUターンは難しいけど、自分が八郷でプロジェクトを続けることによって、Uターンのロールモデルも伝えられたらと思います」と話す。

八郷留学の原部さんは、新規に立ち上げたプロジェクトでSTAND IBARAKIに参加。

原部さんは、石岡市の八郷地区出身。大学進学のタイミングで上京し、そのまま都内の会社に就職したが、2年ほど勤めたあとUターン。2020年7月、久々に帰ってきた地元で、石岡市役所職員の案内のもと様々な人や場所に出会ったことで、八郷の魅力を再発見したそう。

その後、八郷の魅力や地域課題をリサーチし、企画をまとめていったものが「八郷留学」の原型。そのアイディアを練っているさなか、石岡市役所職員の紹介で、STAND IBARAKIに出会った。

原部さん「当時はまだ、街づくりの『ま』も頭になかったので、他のプレーヤーさんたちの思想を学べることや、情報収集や人脈づくりができることをSTAND IBARAKIに期待していました。でも一方で、地域文化や暮らしに強い想いを持つ方がたくさんいる八郷で、『浅い思想で始めてしまってよいのだろうか』という不安もありましたね」

自由な距離感で参加してくれる仲間たちと活動しているイバフォルニア・プロジェクトの小池さんは、審査員賞を受賞。いちローカルプレーヤーとして、「県内の色々な活動を見に行きたいし、プレーヤーたちとも話してみたかったんです。それが刺激になるし、地域同士で連帯感も生まれますしね。STAND IBARAKIでは、それが少し実現できました」と語る。

イバフォルニア・プロジェクトの小池さんは、自身の生まれ育ったひたちなか市阿字ヶ浦海岸で、仕事や地域活動を続けてきたが、「活動の仲間が欲しい」という想いがありSTAND IBARAKIに参加。

小池さん「参加の一番の理由は、仲間探しですね。そして、これまでの活動を振り返り、イバフォルニア・プロジェクトとして次のステージに行くために、自分たちの情報を改めて整理し、発信して、いろいろな人へ『関わりしろ』を届けたかったという想いもあります。地域プレーヤー同士のつながりも期待していました」

NEW IBARAKI賞を受賞したproject大洗カオスの平間さん。大洗町に移住した平間さんを中心に、オンラインで都内に住むチームメンバーたちとやり取りをしながらプロジェクトを実行。「大洗カオス、っていう名前だけ聞くと、すごく怪しい団体じゃないですか。だからこそ、認知度向上と関わり作りを意識していきました」と活動を振り返る。

project大洗カオスの平間さんは、プログラムに参加することで、活動を加速させながらも地域との結びつきを作っていきたい、という目的があった。さらに、チームの活動モチベーションを高めるのも目的の一つ。

平間さん「大洗カオスのメンバーは大所帯なので、企画の実行に時間がかかってしまうんです。なので、期限あるプログラムに参加すれば、ゴールに向かっていく気持ちを高めていけるのではという目論見もありました。継続的な活動のきっかけづくり、大洗カオスの認知度向上、茨城県内の人たちとの関わり作り、ということも期待していました」

また平間さんは、STAND IBARAKIをきっかけに、地元大洗町にUターンを果たした移住者でもある。2020年9月から大洗観光おもてなし推進協議会の観光コンシェルジュとして勤務中だ。

平間さん「私は大学進学をきっかけに地元を離れ、卒業後は都内に就職。都内に住んでいた当時、if design projectに参加したことで、改めて大洗の良さと可能性に気づきました。その後、大洗カオスとしてSTAND IBARAKIに参加しましたが、そのときに『現地に活動メンバーがいないから、大洗との繋がりが弱い』という問題が挙がったんです。その課題が後押しとなり、Uターンを決意しました」

「自分たちがやりたいこと」「地域に暮らす人の想い」を大切に

STAND IBARAKIの期間中は、プロジェクトごとに思い描くビジョンに向かって活動。ときにチームメンバーで協力し合いながら、ときに街の人々や外からやってくる参加者を巻き込みながら、それぞれのチームは精力的にアクションを起こしていった。

Uターン後、一から活動を立ち上げた原部さんは、市役所の方からの紹介で、八郷に住む様々な感性の人たちに出会ったそう。

原部さん「紹介をしてもらいながら、廃材からお洒落な看板を作る人、木こり、バラ園の経営者などに出会えました。感性の尖った人や、インフルエンサーのような人にもたくさん出会えたことで、僕たちの活動に興味を持ってくれた人も増えたと思います。地域の暮らしや文化に深い思想を持っている方とも出会い、色々な話を聞かせていただいただけでなく、僕の企画の壁打ち相手にもなってくださいました」

八郷の地域との関係性も大切にしてきたという原部さん。八郷の「こんこんギャラリー(写真左奥の建物)」の定例会に参加させてもらいながら、八郷に住む人たちからアドバイスをもらったり、八郷留学の企画アイディアを出してもらったりすることもあった。20年以上前から地域の人と移住者が手を取り合ってきた、という地域の背景を知ったときは原部さんも驚いたそう。

人と出会い、活動を続けながら、活動のアイディアや思想を育んで行った原部さん。自身の活動は、SNSを中心に告知やPRを行っていたが、その一方で、八郷に暮らす人達の気持ちも大切にしていったそう。

原部さん「東日本大震災や新型コロナウイルス感染症をきっかけに、地方に目が向けられていますが、自然や文化といった資源を『消費されたくない』という想いもあるんですよね。だからこそ、八郷に根付く価値観や多様性、スタイルを大切にしながら、本当に大切な価値観を『ワクワク』でラッピングして外の人たちに届ける、ということを意識するようになりました」

さらに、原部さんの活動には、東京の友人たちも興味を持って参加してくれたそう。

原部さん「手伝いに来てくれた友人が、『茨城の人が、茨城のために頑張っているのがいいよね』と言ってくれたんです。そう思ってくれる人を、どんどん巻き込んでいきたいと思いました」

project大洗カオスは、メンバーの持つ能力やクリエイティビティを活かして、大洗町高校生会の活動の一環である「観光PR動画制作」もサポート。動画を出品した「茨城の魅力を探究し発信する高校生コンテスト」では、150チームのエントリーがある中、project大洗カオスチームがサポートした動画は見事最終審査まで残ることができた。

メンバーの大半が都内に住んでいるproject大洗カオス。プログラムの中でモチベーションを維持するために大切にしたのは「自分たちがやりたい企画をやる」ということだそう。

平間さん「STAND IBARAKIに参加した当初はモチベーションも高かったのですが、途中から冷めてしまったんです。そんなときに、メンバー同士で本音で語り合った結果、『自分たちの想いに正直に、やりたいことを本気で取り組もう』という考えに行き着いたんです」

現地での活動を担ったのは平間さん。新しいことへの挑戦に意欲的な大洗町役場や大洗観光協会の協力の下、街のさまざまな人に出会いながら、WebサイトやSNSを活用しつつ「あなたの『大洗でやりたいこと』」を募集。その思いを受け取り、地域資源や文化、歴史をしっかりと尊重しながらも、大洗の「カオス」の種を集めていった。

project大洗カオスは、大洗の町民主催イベントへの参加や、町内の高校生が作る大洗PR動画の制作にも協力。さらに、つくばみらい市の中学校が行うワークショップへの企画協力は、大洗に暮らす人と出会う「人柄スタンプラリー」という、中学生発案の企画誕生につながった。

平間さん「自分たちだけでなく、関わってくれる皆さんに対しても『あなたがやりたいことって何?』と問いかけました。だからこそ関わるハードルを低くすることができたと思います。『何ができますか?』だと、スキルを持っていないといけないような気持ちになりますからね」

イバフォルニア・プロジェクトの拠点「イバフォルニア・ベース」で企画された「日替わりコミュニティ・マ
ネージャー」には、職業・年齢・住む場所の異なる約40名が賛同。コミュニティ・マネージャーを担当する人やその場所に居合わせた人たちの力で、新たな企画や化学反応が生まれていった。

イバフォルニア・プロジェクトとして阿字ヶ浦海岸で活動してきた小池さんも、地域で生まれる人の繋がりについて、「いろいろな人が関わってくれるから、その地域で新しい風を起こせるのだと思います」と話す。

小池さん「新しい人が地域やプロジェクトに想いを持って関わってくれることで、既存の価値にとらわれないアクションが起こせる。でも、地域の人が大切にしているもの、地元に根づいているものもある。僕らのような地域のプレーヤーが、外から来てくれる人と、その場所に住んでいる人との、仲人役になれたら良いかもしれないですね」

STAND IBARAKIを通じて、イバフォルニア・プロジェクトへの参加を希望する人との出会いだけでなく、プロジェクトオーナーたちとの出会いも、活動への弾みにつながったのだそう。

小池さん「プロジェクトオーナーさんたちと仲良くなって、お互いに情報交換をしたり、活動場所の視察に行ったりもしました。僕らの拠点、イバフォルニア・ベースの『日替わりコミュニティ・マネージャー』という企画も、平間さんのアイディアから生まれたんです。その結果、僕らだけでは思いつかなかったアイディアで場所を活用してくれる人に出会うことにも繋がりました」

駆け出しの人も普通の人も、一緒にがんばっていきたい

7ヶ月にわたるSTAND IBARAKIは終了したが、プロジェクトオーナーたちは、プログラムの中で生まれた出会いと実績を糧に活動を続けている。原部さん、平間さん、小池さんの三人は、これからどんな想いで活動を続けていくのだろうか。

project大洗カオスのWebサイトからは、「あなたが大洗でやってみたいこと」を投稿できる。海・観光地・商店街の3つの切り口から集まったアイディアをかけ合わせ、project大洗カオスが「交わりと発見」が生み出されるカオスなイベントに昇華していく。

平間さんは、「まずは僕たちの活動を知ってもらって、ワクワクしたら一緒に参加してもらいたいです。応援するだけでもいいし、一緒に企画づくりやイベントに参加するのもあり。関わり方は自由なので、ワクワクした方、いつでも連絡待ってます」と、茨城への「関わりしろ」を探す人たちへのメッセージを語る。

この想いは、平間さんだけでなく、STAND IBARAKIにエントリーした25チームすべてが抱く気持ちではないだろうか。

イバフォルニア・プロジェクトの小池さんは、「自分が幸せに暮らす」ことのために参加してもらうのも大歓迎と話す。

小池さん「『茨城の課題を解決したい』という熱い気持ちを持ってきてくれるのはもちろん、『自分や家族が楽しく過ごしたいから』という理由でイバフォルニア・プロジェクトの企画に参加してくださるのも大歓迎。それぞれに、関わりやすい熱量がありますからね。僕たちも、関わってくれた人の人生に少しでも彩りを加えられるよう、しっかりとご協力させていただきます」

八郷留学の原部さんは、STAND IBARAKIを通して「里山体験だけではない、八郷の未来を作れる取り組みを展開していきたい」と考えたそうだ。そんな未来を実現するために、一緒に成長しながら頑張れる人に参加してもらえたら、と話す。

原部さん「ある分野の専門家に来ていただくのも心強いですが、一緒に手を動かしながら、地域課題を考えたり、アイディアを考えたりできる仲間が欲しいですね。『駆け出し』な人でも、一緒に活動しながら力をつけていきたいです。いま八郷留学に参加しているメンバーの中にも、駆け出しのフォトグラファーがいて、一緒に試行錯誤しながら活動を盛り上げているところです」

STAND IBARAKIを通じて出会った、一緒に考え手を動かしてくれる八郷留学の仲間たち。「自分たちがどうしたいのか、八郷をどうしたいのか。『地元を盛り上げるって具体的にどういうこと?』『住民の想いもある中、どうやって回していけばいいの?』など、とことん考えて行きたいですね」と原部さん。(撮影は八郷出身の三浦奈央さん)

さらに小池さんも、「移住や関係人口という話を考えたときに、受け入れる地域に『普通の人でも輝ける場所』を作ることが大切だと思っています。勇気を持って『参加したい』と連絡をくれた人にも、ちゃんと応えていきたいですね」と、これまで続けてきた活動を振り返る。

ワクワクを感じたら、ちょうどいい熱量で関われる

活動をともにする中で、一緒に成長していくのも楽しさの一つ。さらに、街が徐々に変化していく様子を目のあたりにできるのも、地域活動の醍醐味かもしれない。自身の成長を実感し、地域の変化に立ち会うことで、関わった地域への想いがより強くなっていくはずだ。

STAND IBARAKIで生まれた、茨城県への25の多様な関わりしろ。茨城で活動の糸口を探している人は、まずはSTAND IBARAKIのWebサイトから、各プロジェクトの取り組みをチェックしてほしい。

そこで「ワクワク」を感じることができたら、活動をフォローして応援するもよし、実際に会いに行って話を聞くもよし。自分の距離感と熱量で茨城県内の様々な取り組みに参加することができる。

きっかけは小さくても、そこから生まれた出会いが、茨城との大切な関わりになっていくかもしれない。

PROFILE

THINGS

STAND IBARAKI https://standibaraki.jp/

茨城県内でチャレンジを起こしたい人を応援し、「茨城県というフィールドを使い、実践する人」「茨城に関わる人」を 増やすことを目的としたプロジェクトSTAND IBARAKI。

すでに進行中のもの、新しく立ち上がったもの含め、25のプロジェクトがエントリー。各プロジェクトは、プロジェクトを応援してくれるサポーターを集めながら、活動舞台となる茨城県内地域とそこに暮らす人、地域を訪れる人を巻き込みながら活動。

2020年度の開催は、2020年8月から2021年2月の約半年間。茨城県を舞台にする活動が可視化され、県外からの参加だけでなく、県内での横のつながりをつくるきっかけにもなった。

2月のオンラインイベント「STAND IBARAKI冬の陣」では、ファイナリストに選ばれた7組のプロジェクトが、外部審査員と視聴者にプレゼンテーション。審査を経て、3組のプロジェクトがMVPに選ばれた。

INTERVIEWER

佐野匠

1985年茨城県下妻市生まれ。20代半ばに東京から地元に戻るも、キャリアもスキルも学歴も無かったため、悩んだ末にボランティア活動に参加し、その中で写真、文章、デザイン、企画、イベント運営などのノウハウや経験値を蓄積。最近やっとライターやフォトグラファーの仕事を頂けるようになりました。カッコいいと思うものは、マグナム・フォトとナショナルジオグラフィック。

Photo:鈴木潤(日立市出身)(一部提供写真を除く)